この記事のポイント
- 食物アレルギーに対応できるレストランが増えてきました
- レストランでの食物アレルギーの対応のしかたとは!?
- 加工食品のアレルギー表示義務について
徐々に増えているアレルギー対応ができるレストラン
2022年現在、特にここ数年で、食物アレルギーを持つ人でも食事に行けるレストランが少しずつ増えてきました。アレルギー対応を前面に押し出し、積極的に食物アレルギーを持つ人を呼び込んでいるレストランも出てきています。とてもうれしいことだと思っています。
実際に「アレルギー対応」「レストラン」で検索(※1)してみると、たくさんのレストランやそれを紹介するサイトがヒットします。
食物アレルギーを持つ人にとっては、レストラン側がどれだけアレルギーの知識を持っており、どれだけ対応してもらえるのかがとても大事です。私たちの場合、レストランのホームページや口コミ等で事前にレストランを下調べした後、直接お店でも確認して聞いてみて、大丈夫そうであればそのレストランで飲食をすることにしています。
食物アレルギーを持つ人を受け入れる場合、レストラン側としてはどのような知識を持ち、対応すれば良いのでしょうか。
※1 グーグルでの「東京」「アレルギー対応」「レストラン」での検索結果
レストランでの食物アレルギー対応
レストランで、食物アレルギー反応が出ないようにするためには、お互いよくコミュニケーションを取ることが必要です。お客さんは、どの食材にどの程度の食物アレルギーがあるのかをレストラン側によく伝え、レストラン側は、どんな対応をできるのかお客さんに伝えます。
乳や卵など、アレルゲン(アレルギーを引き起こす食材)となる食材を使わなければ良いだけと思ってしまいますが、アレルギーの知識がないと見落としやコンタミネーション(意図しないアレルゲンの含有)などが起こってしまうかもしれません。
- アレルゲン(乳や卵など人によって異なる)となる食材を使わない → 書かれていないことがあります。日本の場合、特定原材料(えび・かに・小麦・そば・卵・乳・ピーナッツ)が含まれていれば表示されているはずですが、その他については不明です。海外の調味料の場合、アレルギー表示はその国ごとに異なるので調べなければわかりませんし、日本ほど管理ができていないことが多いです。
- 調理器具にアレルゲンが付着しないようにする → 他の料理と共通でフライパン・包丁・まな板・バットなどを使うとコンタミネーションが起こる可能性があります。おたまやスプーン、フライ返し、また調理師の手指にも付着してるかもしれません。調理器具は洗剤を使って洗ってから使う、もちろん手指もよく洗うことが大事です。
- 調理油・調味料にアレルゲンが混ざっていないことを確認する → 原材料にアレルゲンが含まれていなくても、たとえば焼き鳥を付けダレに付けるとき、そのタレが小麦を含むつくねを付けたタレであれば、コンタミが起こってしまうことがありますので使えません。揚げ物の油も同様です。
- 料理を提供するお皿やドレッシング・ソースなどにも注意が必要です → 調理場では気を付けても、ホールでアレルゲンを含むドレッシングをかけたりしないよう、注意が必要です。また、大皿にアレルギー対応の料理とそうでない料理を並べると、コンタミのリスクがあるので避けた方が無難です。食卓やカトラリーを清潔にすることも必要です。
- 普通の醤油は小麦アレルギーの人でもOKです → 醤油は通常小麦を含んでいますが、醸造過程で小麦アレルゲンが消失する(※1)ので、小麦アレルギーの人でも摂取できます。だし醤油、たまり醤油などは、材料を確認する必要があります。
こうして見ると、大変に感じてしまうかもしれませんが、一度覚えて、慣れてしまえばこれらの対応を行うことは簡単です。コミュニケーションの時間が取れるか、卵の代わりに何を使うか、小麦粉の代わりに米粉でできるか、などが悩みどころかも知れません。
万一、アナフィラキシーなどの強いアレルギー症状が出てしまったときには、迷わず救急車を
※1 食物アレルギー研究会ほか多数の文献
加工食品のアレルギー表示義務について
2001年に加工食品のアレルギー表示が義務付けられました(※1)。えび、かに、小麦、そば、卵、乳、落花生といった特定原材料の表示が義務付けられ、あわび、いか、いくら、オレンジ、キウイフルーツ、牛肉、くるみ、さけ、さば、大豆、鶏肉、バナナ、豚肉、まつたけ、もも、やまいも、りんご、ゼラチンについても、可能な限り表示するよう推奨しています。
話はそれますが、2016年にバリアフリー法という法律ができました。スロープやエレベーターなどを設置し、高齢者や車いすなどを使用する人たちが、公共施設などを使いやすくなりました。
現在はユニバーサルデザインと呼ばれる更に進んだ施策を行い、あらゆる人々が使いやすい社会(建物や製品など)を目指しています。
食物アレルギーについては、2001年から20年以上経っているのですが、まだ加工食品以外には食品のアレルギー表示は義務となっていません。レストランで義務付けられれば、食物アレルギーを持つ人々がもっと外食の機会を増やすことができます。または、食物アレルギーに対する知識がある店舗を認定し、来客者に分かりやすくするような制度ができても良いと思います。(レストラン側、客側でwin winだと思うのですが。)
多くの大手レストランチェーンでは、インターネット等でアレルギー表示を行っています。残念なのは、ほとんどの表示で、醤油に含まれる小麦をアレルギー食材としてカウントしてしまっていることです。醤油だけに小麦が含まれている場合、本来小麦アレルギーを持つ人でも食べられるのに、小麦が醤油だけに含まれているのかどうか明確でないため、食べられなくなってしまいます。
コロナ禍で、外食する機会は減りました。外食することは絶対必要ではないかも知れませんが、たとえ一年に数回だとしてもレストランに行き、店の雰囲気や、自分では作れない味をレストランで味わうということを楽しめられれば、人生をより豊かにすることができると思います。
※1 厚生労働省医薬局食品保健部企画課・監視安全課長連名通知「アレルギー物質を含む食品に関する表示について(2001年3月)
ここまで読んでいただいてありがとうございました。
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